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【小児期に矯正治療を行う理由】 |
小児期にお子さんの口元の違和感に気づいたお父さん、お母さんは、お子さんの将来の歯並びや咬み合せ、また全身的な成長を心配されているのではないでしょうか?
ガタガタの歯並び(歯列不正)や上下のあごの発育の不調和(不正咬合)は、6歳から12歳ごろの小児期において多くの場合、口呼吸・舌の癖・態癖・姿勢など、お口のまわりに関わる筋肉の機能不全が原因になっていると考えられています。
しかし、はやいうちにこの悪習癖を改善し成長旺盛な時期を利用して永久歯列が完成する前の混合歯列期に治療を開始することにより、正しい鼻呼吸、口唇閉鎖力や舌の動きを身につけるだけでなく、心身ともに健康的な成長が期待することができ、その結果として永久歯のきれいな歯並び、咬み合せを獲得する事が出来ます。 |
■小児期の矯正治療の利点と欠点 |
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【成長期を利用した矯正治療(咬合誘導)】 |
『6才〜8才のお子さん』
骨格の発育旺盛なこの時期は、マウスピースや取り外し式拡大装置(床矯正)により、上あご下あごを積極的に拡大し改善することが可能です。
お子さんに負担の少ない簡単な装置で、お子さん本人が取り外しする事ができます。 |
■床矯正の利点と欠点 |
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『8歳〜9歳のお子さん(1期治療)』
このころの子どもの矯正治療は、成長期を利用し柔らかいワイヤーによって歯の並ぶ隙間を作り、また歯の萌出を正しい方向に誘導し、部分的に前歯を並べることを目的としています。 |
『9歳〜12歳のお子さん(2期治療)』
子どもの奥歯の生え替わり治療では、さらにヘッドギアという顎外固定装置などを用いて奥歯を適切な位置に並べることを目的としています。 |
■1期治療と2期治療とは |
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これらの成長期に適切な予防的治療(準備矯正)を施すことで、お子さんの健全な歯並び咬み合せ、ひいては健康的な成長発育を促すとともにお子さん自身、ならびにお父さん、お母さんの精神的な負担の軽減になればと思います。 |
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【混合歯列期は歯並びの不正に気づく時期】 |
混合歯列期には口の中がどんどん生え替わり変化するため、治療内容の観点からも歯列矯正を開始するのにふさわしい時期なのです。一般の矯正専門の歯科には歯並びが悪くなってから通院する事が多く一番治療に適したタイミングを逃してしまいがちです。
混合歯列期に定期的な診査を行えば、永久歯のサイズや生え替わりの状態などを把握し、あごの骨が今後どの程度成長するかなどの見通しを立てやすくなります。小さい歯列を広げる、生え替わりの際の歯の萌出方向をコントロールするなどの「成長を利用した治療」ができ、将来的に永久歯をきれいに並べるための準備が可能になります。そのタイミングに気づいてあげられるのが、ホームドクターであるわたし達であると考えています。 |
子どもの矯正治療を開始するかどうかは、お口の分析診断をして成長の予測を立て、相談した上で開始します。治療開始のタイミングについては気軽にご相談ください。 |
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■小児期にはじめる矯正治療
小児期に矯正治療を始める事は見極めが困難ですが、お子様の矯正歯科治療を行ううえで目標とするのは、一生自分の歯で噛む事の出来るきれいな歯並びの達成をお手伝いする事です。そのためには、乳歯と永久歯の混在する混合歯列期からお子さんの定期的な口腔内管理を始めて、ベストな時期に矯正治療を開始する必要があると考えています。
また、この時期に治療を行うか否かに関わらず、検査をして詳しい資料をとることは、顎(あご)骨の成長や歯の生えかわりなどの経過観察にとても重要で、また将来の治療の際に非常に役立ちます。但しこの検査結果で永久歯列期に治療を開始した方がいい場合や、しない方がいい場合もあります。 |
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■拡大床のトラブル(利点と欠点)
何年経っても治らない。
治療後すぐに後戻りをしてしまった。
奥歯の噛み合わせが悪くよく物が噛めない。
上下の歯並びが四角くくなってしまった。
口元が突出して出っ歯になってしまった。
きちんと検査せずに歯列を広げるだけの治療のトラブルです。
成長期のお子さんでは、顎の成長を利用して顎を広げる「床矯正」という治療を行うことがあります。顎を広げる「拡大床」という装置を用いて、歯並びを整えるための隙間を作る方法です。装置が目立たない、歯を抜かないで矯正できるというメリットがあります。とはいえ症状はお子さんごとに異なりますので、全てのお子さんが床矯正で矯正できるわけではありません。
ところが、歯を抜かないことに重点を置くばかりに、きちんと検査もせずに床矯正を始める例があります。顎を広げるといっても厳密には顎の骨はさほど広がらず、歯を外側に傾斜移動させて歯列を拡大する方法ですので、場合によっては歯だけが斜めに広がってしまい、口元を突出させてしまうといったトラブルを引き起こします。また、床矯正は後戻り(歯が元の位置に戻ること)しやすいというデメリットがあります。
顎の成長、歯の傾斜のバランスを考えて治療する技術とタイミングが必要となりますが、非抜歯治療として床矯正を勧めることで上記のような失敗例が多く発生しています。床矯正を矯正治療の補助的装置であり、過度な使いすぎ(期間を定めず使用)は失敗の元です。基本はブラケットなどの矯正装置を用いた矯正だと考えています。 |
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■一期治療』と『二期治療』とは
乳歯から永久歯に生え変わる途中の時期を「混合歯列期」と呼びます。 混合歯列期に行う矯正治療を「一期治療」(予防矯正/小児矯正)、永久歯が生え揃ってから行う最終的な矯正治療を「二期治療」と言います。「一期治療」は「二期治療」と結びついた一連の矯正治療の部分と考えています(「一期治療」を行うことで「二期治療」が必要なくなる場合もあります)。あくまでも治療の目標はしっかりした永久歯列を作ることです。ただやみくもに「一期治療」を行うのではなく、「二期治療」のゴールを見据えて治療を行います。 |
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